朝日が昇っても、どどらんどには不穏な空気が漂っていた。
昨夜の影の襲撃から一夜明け、皆は水辺に集まって対策を話し合っていた。
「現状を整理しよう」
えうんが持っている金属片を並べた。
「今、鍵は四つ。あと三つ必要だ」
ユキが頷く。
「昨夜の映像では、一つは山の頂上、一つは洞窟の封印の中」
「もう一つは?」
だまよおが聞く。
「それが分からないの」
ミオが不安そうに言う。
その時、A氏とB氏が慌てた様子でやってきた。
『大変……影ガ……変化シテイル』
「変化?」
『見テ』
B氏が指差す方向を見ると、森の端で不気味な光景が広がっていた。
昨夜は形のなかった影が、少しずつ集まって塊を作り始めていた。まだ完全な形ではないが、うねうねと動く黒い塊は、明らかに昨夜とは違う。
「実体化し始めてる……」
ユキが青ざめた。
「これは予想より早い」
黒い塊が動いた。その中から、赤い目のようなものが二つ、ぎらりと光った。
「ひっ!」
くぴぃがえうんの後ろに隠れる。
塊は少しずつ形を変えながら、四本の脚のようなものを作り出した。まだ不安定だが、獣のような姿になろうとしている。
『コレハ……我々ノ星デ見タモノト……同ジ』
A氏が震えているように見えた。
「倒せるの?」
だまよおが前に出る。
「だまぁ!正義の味方が相手になってやる!」
「待って!」
ユキが止める。
「まだ完全に実体化していない今なら、追い払える。でも、完全に形を持ったら……」
その時、えうんの持つ「星の鍵」が強く光った。
光に反応して、影の塊が唸り声を上げた。低く、地面を震わせるような声。
「鍵が……反応してる」
えうんが星の鍵を掲げると、光がさらに強くなった。
影の塊は光を嫌がるように後退した。しかし、完全には逃げず、森の奥でうろうろしている。
「光は有効みたいだ」
「でも、ずっと光らせ続けることはできない」
ミオが心配そうに言う。
おひーんが水面から顔を上げた。
「ねぇ〜、思い出したことがある〜」
「なに?」
「昔の記憶に〜、五つ目の鍵の話があった〜」
皆が注目する。
「どこに?」
「マメキン種の〜、正義の石の中〜」
だまよおが飛び上がった。
「正義の石!?それって、村の中央にある……」
「そう〜、多分あの中に〜、鍵が封印されてる〜」
「じゃあ、すぐに取りに行こう!」
だまよおが走り出そうとした時、森から大きな唸り声が響いた。
影の塊が、さらに大きくなっていた。そして、二体、三体と数が増えている。
「分裂してる……」
ユキが呟く。
「急がないと。完全に実体化する前に、鍵を集めなければ」
皆で手分けすることになった。
だまよお、えうん、ミオの三人でマメキン種の村へ。
くぴぃとおひーんは、A氏B氏と共に影の監視。
ユキは、最後の七つ目の鍵の手がかりを探すことに。
マメキン種の村に着くと、ガンさんが深刻な顔で迎えた。
「来たか。実は、正義の石が昨夜から震えている」
中央広場にある大きな石。マメキン種の象徴である正義の石は、確かに微かに振動していた。
「これは……」
えうんが星の鍵を近づけると、正義の石が強く光った。
そして、石の表面に亀裂が入った。
「あ、ちょっと!」
ガンさんが慌てるが、だまよおが止めた。
「大丈夫だ、ガンさん。これは必要なことなんだ」
亀裂から光が漏れ、石が二つに割れた。
中から、金属片が現れた。
五つ目の鍵。
「本当にあった……」
だまよおが手に取る。温かく、正義の力を感じる。
「これで五つ」
その時、村の外から悲鳴が聞こえた。
急いで外に出ると、影の塊が一体、村の入り口まで来ていた。
しかも、その姿は先ほどよりはっきりしている。
四本脚の獣の形をしていて、赤い目が不気味に光っている。口のような裂け目から、黒い煙を吐いている。
「実体化が進んでる!」
だまよおが正義の鍵を掲げた。
「だまぁ!これでも食らえ!」
鍵から光が放たれ、影の獣に当たった。
獣は苦しそうに唸り、後退した。しかし、倒れはしない。
「効いてるけど、倒せない」
「複数の鍵を合わせれば……」
えうんも星の鍵を掲げる。二つの光が合わさると、より強力な光となった。
影の獣は耐えきれずに逃げていった。
しかし、これは一時的な勝利に過ぎない。
村に戻ると、ユキから伝言が届いていた。
「七つ目の鍵の場所が分かったって!」
くぴぃが息を切らして伝える。
「どこ?」
「それが……」
くぴぃの表情が曇る。
「空の上。雲の中にある浮遊島だって」
皆が顔を見合わせた。
飛べないと、行けない場所。
「私……頑張って飛ぶ!」
くぴぃが決意を込めて言った。
「でも……」
「大丈夫。皆のために、飛んでみせる!」
その時、遠くから地鳴りのような音が響いてきた。
見ると、森から黒い煙が上がっている。
影の獣たちが、完全に実体化を始めた証だった。
時間がない。
最後の二つの鍵を手に入れ、七つ全てを揃えなければ。
どどらんどの運命を賭けた、最後の戦いが近づいていた。
四コマ
No.4 しょくぶつ



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