第4話「光が落ちた場所へ」

朝、えうんの竪穴住居にだまよおが駆け込んできた。
「えうん!昨日の光、気になって眠れなかった!」
「ぼくも……」
えうんは一晩中、あの光のことを考えていた。ミオも心配だ。
「ミオさんとくぴぃも呼んで、見に行こう」
「おう!おひーんは……まぁ、陸は無理だな」
二人は谷へ向かった。ミオはもう起きていて、くぴぃと一緒に何か話していた。
「あ、えうん君、だまよお君!」
「昨日の光、見に行かない?」
ミオの提案に、皆は頷いた。
森へ向かう道中、くぴぃが不安そうに言った。
「怖くない……?」
「だまぁ!おれが守ってやる!」
だまよおが胸を張る。
「ぼくも一緒だから」
えうんの言葉に、くぴぃは少し安心した様子だった。
森の入り口に着くと、いつもと違う雰囲気が漂っていた。
「なんか、静か……」
ミオが呟く。鳥の声も虫の音も聞こえない。
奥へ進むと、木々がなぎ倒されている場所があった。まるで、何か大きなものが落ちてきたような跡。
「ここだ……」
さらに進むと、開けた場所に出た。
そこには、銀色の大きな物体が半分地面にめり込んでいた。見たことのない材質で、表面は滑らかだった。
「な、なんだこれ!」
だまよおが叫ぶ。
その時、物体の一部が開いて、中から何かが出てきた。
細長い。
とても細長い、肌色の姿が二つ。
一つの額には「A」、もう一つには「B」の文字があった。
『オォ……』
『生命体……確認』
不思議な声が頭に響いてきた。
「だまぁ!お前たち、何者だ!」
だまよおが前に出る。A氏とB氏は、ゆらゆらと揺れながらこちらを見ていた。
『我々ハ……』
『調査……』
『植物ノ成長……必要』
断片的な言葉しか伝わってこない。
「植物?」
えうんが聞き返すと、B氏が地面に細長い手を触れた。すると、枯れかけていた草が急に青々と成長し始めた。
「すごい……」
ミオが驚きの声を上げる。
『コノ星……豊カ』
『我々……協力……求ム』
A氏が身振り手振りで何かを伝えようとしている。
「協力?」
『植物……育テル……皆……幸セ』
なんとなく、悪い存在ではなさそうだった。
「でも、どうやって?」
えうんが尋ねると、A氏とB氏は顔を見合わせた。
『時間……必要』
『言葉……学ブ』
『マタ……会ウ』
そう言うと、二人は森の奥へ消えていった。細長い体をくねらせながら、まるで踊るように。
「なんだったんだ……」
だまよおが呆然としている。
「でも、悪い人たちじゃなさそう」
ミオが言うと、くぴぃも頷いた。
「植物を元気にしてたもんね」
「とりあえず、今日のところは帰ろう」
えうんの提案で、皆は森を後にした。
帰り道、だまよおが言った。
「なぁ、このこと、皆に言うべきか?」
「うーん……」
「まだ早いんじゃない?」
ミオが答える。
「A氏とB氏のことがもっと分かってからの方がいいかも」
「そうだね」
水辺に戻ると、おひーんが相変わらず浮いていた。
「おかえり〜。どうだった〜?」
「えっと……」
皆は顔を見合わせた。
「変なものが落ちてた」
だまよおが簡潔に答える。
「そうなんだ〜。でも、皆無事でよかった〜」
おひーんはそれ以上聞かずに、また目を閉じた。
夕方、えうんは一人で考え事をしていた。
A氏とB氏。宇宙から来た存在。植物を成長させる力。
これから、どどらんどはどうなっていくのだろう。
「えうん君」
振り返ると、ミオが立っていた。
「ミオさん……」
「心配?」
「うん……」
ミオはえうんの隣に座った。
「でも、きっと大丈夫。皆がいるから」
「そう、かな」
「うん。えうん君の作るものも、きっと役に立つ時が来る」
夕日が二人を照らしていた。

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